スマートフォンの充電に欠かせないモバイルバッテリー。いざ購入してみたら本体に「MADE IN CHINA」と書かれていて、「これって安全なの?」と不安になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、モバイルバッテリーの安全性の見極め方や仕様表示の読み方、正しい保管方法まで、パソコン教室でよくいただくご質問をもとに分かりやすくまとめました。
「MADE IN CHINA」でも安心して良い理由
現在、日本国内で流通している家電製品やモバイルバッテリーは、有名メーカーの製品であっても、その多くが中国など海外の工場で製造されています。例えば国内メーカーのエレコムの製品も、日本のエンジニアが設計・評価をおこない、現地工場で品質管理を徹底したうえで生産されているものがほとんどです。
安心して使うために、お手元の製品が次の2点を満たしているか確認してみましょう。
- PSEマークがついているか:日本の法律(電気用品安全法)の基準を満たしている証拠として、本体や外箱に「PSEマーク」が必ず印字・記載されています。
- 正規のルートで購入したか:家電量販店やメーカーの公式直営ショップ、Amazonなどの正規販売店で購入した新品であれば問題ありません。
ノーブランドの安価な海外製バッテリーとは異なり、国内メーカーの製品は安全回路の設計やサポート体制がしっかり整っています。PSEマークがある正規流通品であれば、安心して使って大丈夫です。

製品仕様の見方(エレコム DE-C85-5000BKを例に)

背面に記載されている仕様表示は、実は難しいものではありません。エレコムのモバイルバッテリー「DE-C85-5000BK」を例に、上から順に見ていきましょう。

1. 製品の基本情報
- Product name / Power Bank:製品の種類(モバイルバッテリー)を示しています。
- 定格電圧・定格容量:内部の電池から実際に外部へ給電する際の、回路全体の定格基準値です。
- MADE IN CHINA:製造国(中国製)を示しています。
- Product number:型番です。カラーやモデルの違いを区別する番号です。
- Capacity(3.85V/5000mAh/19.25Wh):内蔵バッテリーの性能です。5000mAhは一般的なスマートフォンを約0.9〜1.6回ほど満充電できる容量にあたり、19.25Whは電圧と容量を掛け合わせたエネルギー量です。
2. 入力(INPUT)と3. 出力(OUTPUT)
- 入力(本体を充電するときの仕様):急速充電器(USB Power Deliveryなど)を使うと、最大18W程度の入力で本体を素早く充電できます。
- 出力(スマホなどを充電するときの仕様):USB-CやUSB-Aなど複数のポートを備え、最大22.5W程度で出力されるのが一般的です。「PPS規格」に対応していると表示があれば、GalaxyやGoogle Pixelなど最新スマホを発熱を抑えながら急速充電できます。2つのポートを同時に使う場合は、合計出力が一定のワット数に調整される点も覚えておくと安心です。
4. その他のマーク・シリアル番号
- SN(シリアルナンバー):製品個別の製造番号です。
- PSEマーク:日本の安全基準(電気用品安全法)をクリアしている証拠です。
- リサイクルマーク(Li-ion◯◯):内蔵電池がリチウムイオン電池であることを示し、廃棄時はリサイクルに出す必要があることを表しています。
コラム:「Li-ion 20」の「20」って何?
リサイクルマークに記載された「Li-ion」のあとの2桁の数字は、電池の材質や特性を分類するための業界コードです。一般社団法人JBRCなどの規定では、十の位はバッテリーの正極材(主成分)の種類を、一の位はリサイクルを阻害する特定物質(スズやリンなど)が含まれていないかを示しています。「20」であれば、一般的な三元系リチウムイオン電池で、特定物質を含まない(または基準値以下)ということです。この番号のおかげで、リサイクルを行う機関は電池の素材を一目で判別し、適切な方法で処理できるようになっています。
もしもの発火事故、補償はしてもらえる?
PSEマーク自体に、発火事故が起きた際の金銭的な補償(保険のような仕組み)が含まれているわけではありません。ただし、PSEマークがついた国内正規メーカー品であれば、次のような形で責任の仕組みが用意されています。
- 製造物責任法(PL法)による賠償:製品の欠陥が原因で火災が起き、家や持ち物が燃えてしまった場合、法律に基づいてメーカーが損害賠償責任を負う仕組みになっています。
- メーカーや販売店の対応:信頼できる国内メーカーであれば、事故発生時に原因を調査したうえで、補償や窓口対応を行ってくれます。これがノーブランド品や怪しい海外直輸入品との大きな違いです。
- 注意点:改造した、落下させて内部を激しく損傷させたまま使い続けた、規定外の充電器を使ったなど、メーカーが推奨しない使い方が原因の場合は、補償の対象外になることがあります。
PSEマークは「国の安全基準をクリアしている証拠」であると同時に、万が一の際にメーカーへ責任追及や補償を求められる大前提でもあります。
保管は缶ケースでも大丈夫?
金属製の缶に入れて保管する方法は、万が一のときに炎が周囲へ燃え広がるのを防ぐ効果があり、安全対策として理にかなっています。消防局などでも、身近な金属缶を活用した延焼防止策が推奨されることがあります。
ただし、缶で保管する際は次の点に注意しましょう。
- 金属端子のショートに注意する:USB端子などの金属部分が缶の内側に直接触れると、ショートして発熱する恐れがあります。端子部分に絶縁テープを貼るか、個別に袋や布に包んでから入れると安心です。
- 完全な密閉は避ける:フタをガチガチに密閉すると、万が一のガスや圧力がこもってしまうことがあります。フタは軽く乗せる程度にしておきましょう。
- 高温になる場所を避ける:金属製の缶は熱を伝えやすいため、直射日光が当たる窓際や夏場の車内などは避け、涼しく乾燥した場所に置いてください。
普段使わない予備のバッテリーをまとめて保管する工夫としてはとても良い方法です。バッテリーをそのまま缶の中に置いている場合は、薄手の布や緩衝材(プチプチなど)で包む、端子が金属面に直接当たらない向きに置く、といったひと手間を加えるだけで、ショートやキズのリスクをしっかり防げます。


エレコム以外にもある、日本のモバイルバッテリーメーカー
モバイルバッテリーを手がける日本メーカーは、エレコムだけではありません。
- マクセル(maxell):録画メディアや電池で有名な老舗メーカー。国内工場での組み立てにこだわったモデルなど、安全性の高い製品を開発しています。
- CIO(シーアイオー):大阪に本社を置くガジェット・周辺機器メーカー。コンパクトで高出力な急速充電器やコンセント一体型など、トレンドを押さえた製品で人気です。
- バッファロー(BUFFALO):Wi-Fiルーターやパソコン周辺機器で知られる国内メーカー。近年は発火リスクを抑える「半固体電池」を採用した製品も展開しています。
- MOTTERU(モッテル):神奈川県海老名市に本社を置くブランド。品質管理を徹底し、使いやすさにこだわった製品を展開しています。
- サンワサプライ:岡山県に本社を置くPC周辺機器メーカー。実用性の高いモバイルバッテリーを多く扱っています。
- 多摩電子工業:神奈川県川崎市に本社を置くメーカー。カー用品やスマホアクセサリ、防災向けなど手頃な価格帯の製品を提供しています。
なお、これら日本メーカーの製品も、基本的には中国など海外の協力工場で製造されています。リチウムイオン電池の量産は海外が中心になるためですが、その分、日本メーカーは独自の厳しい基準で品質管理や安全回路の設計を行い、国内でのサポート体制を整えているのが特徴です。
まとめ
「MADE IN CHINA」と書かれていても、それだけで安全性を心配する必要はありません。大切なのは、PSEマークの有無と、正規のルートで購入したものかどうかです。仕様表示の見方や保管方法のポイントもあわせて押さえておけば、モバイルバッテリーをより安心してお使いいただけます。ご不明な点があれば、お気軽に鎌倉出張パソコン教室までご相談ください。