読売新聞社と早稲田大学先端社会科学研究所が共同で実施した全国世論調査(郵送方式、2026年9月10日公表)が、興味深いデータを示しています(記事はこちら)。
調査によれば、YouTubeやX(旧ツイッター)などSNS上の政治・社会情報を「信用している」と答えた人は、「ある程度」を含めても全体の24%にとどまり、「あまり」を含めた「信用していない」は74%に上りました。年代別に見ると、18〜39歳は38%が「信用している」と答えた一方、60歳以上は14%にとどまり、若年層ほど信頼度が高いという傾向がはっきり出ています。
調査ではさらに、政治・社会に関する極端な言説への賛否も尋ねています。「日本の財政が破綻することはないので、赤字国債をいくら発行してもよい」という意見への賛成は全体で11%でしたが、SNS情報を「信用している」層に限ると23%とほぼ倍増します。同様に、温暖化対策は不要とする趣旨の意見についても、全体の12%に対し、SNSを信頼する層では22%が賛成しており、ここでもほぼ2倍の開きが見られました。
一つ目の見方——情報源が偏ると、意見も偏りやすい
この数字だけを見ると、直感的には納得しやすい構図に思えます。特定の情報源、それもアルゴリズムによって似た意見が集まりやすいSNSだけに依拠していると、極端な言説に触れる機会が増え、結果として賛成する人の割合も上がる——という説明は自然に成り立ちます。一つの発言や一つのメディアだけで物事を判断せず、複数のニュースソースに当たる余裕を持つべきだ、という主張の裏付けとしてこのデータを読むことは十分にできます。
二つ目の見方——相関を因果と取り違えない
一方で、このデータの読み方には慎重さも必要です。今回の調査が明らかにしているのは、あくまで「SNSへの信頼度」と「極端な言説への賛成率」の相関関係、そして年代別の信頼度の分布であって、人がどのような判断プロセスを経てSNS情報を信用する(あるいはしない)に至ったかまでは測っていません。
ここには、少なくとも二つの対抗する説明が成り立ちます。
一つは因果の向きが逆である可能性です。「SNSを信じた結果として極端な意見を持つようになった」のではなく、「もともと財政や温暖化について懐疑的・異端な考えを持つ人が、その考えを裏付けてくれる場としてSNSを頼るようになった」という順序も十分にありえます。
もう一つは、世代による情報環境そのものの違いという説明です。上の世代は新聞・テレビを主軸にしつつSNSも参照するのに対し、若い世代にとってはSNSがほぼ唯一の情報摂取源になっているとすれば、「若者が反射的に信じやすい」という認知特性の話を持ち出さなくても、同じような数字は生まれえます。接触している情報源の「数」が単純に少ないという構造の話と、情報を「どう吟味するか」という認知プロセスの話は、結果として似た数字を生みますが、原因としてはまったく別物です。
まとめ——データが支えているのはどこまでか
複数のニュースソースに当たる習慣を持つべきだという主張自体を、今回のデータは間接的に裏付けています。信頼する情報源が一つに偏っている層で、極端な言説への賛成率が明らかに高いという事実は、それだけで十分に示唆的です。
ただし、その理由を「若年層が情報を反射的・無批判に信じているから」と名指しで断定するには、この調査結果だけでは材料が薄いです。相関の背後には複数の仮説が並立しており、どれが主因かを見極めるには、判断プロセスそのものを尋ねる追加のデータが必要になります。
数字が語ること(情報源の分散は重要らしい)と、数字が語っていないこと(なぜそうなるのかの因果メカニズム)を切り分けて読む——今回の調査結果自体が、まさにその態度の大切さを示す好例になっています。
出典: 読売新聞オンライン「SNSの情報「信用している」人は24%、極端な言説への「賛成」高くなる傾向…読売・早大共同世論調査」(2026年9月10日) https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20260910-GYT1T00023/

